優しい人は看護師を辞めやすいの?
看護師を辞める人は、人柄が良くて優しい人が多いと感じる意見は少なくありません。
あなたが看護師を辞めたいと感じるのは、性格が優しいの原因の1つかもしれません。
そこで、優しい人が看護師を辞める理由やすぐ辞めたいと感じた時にできる対処法を解説します。
この記事を読むと優しい人でも看護師を続けながら、自分らしく生きるきっかけをつかめます。
優しい人が看護師を辞める理由4選
患者さんだけではなく、私達自身も優しい人には職場を辞めずに看護師を続けて欲しいと思いますよね。
一方で良い人ほど看護師を辞めたいと考えてしまうこともあります。
そこで、優しい人が看護師を辞める理由について解説します。
①看護観がナースの鑑(かがみ)
看護観がナースのお手本のような人は、職場を辞めたいと思いやすいです。
- 患者さんのQOL(生活の質)が上がるなら多少忙しくなっても構わない
- 患者さんの悪口を言うのが信じられない
- 看護師の都合を優先した看護にストレスを感じる
患者さん主体の看護観を持って仕事をしている人は、職場で上記のように感じやすく強いストレスを抱きます。
一方でナースの鑑のような看護観を実現できる職場は少ないですよね。
看護師不足、お局さんの存在、医師や関係職種との連携の難しさ…様々な理由がある
優しい人ほど看護観どおりに働けないことに苦しんで、精神的にきつくなって辞めたいと感じます。
②同僚看護師に嫌な思いをさせたくない
みんな忙しくて余裕がないよね…
と考えて、周囲の看護師に配慮して仕事を1人で抱え込む。
優しい看護師にあるあるなことですが、仕事を抱え込みすぎると疲労困憊になり、体を壊してしまうケースもあるでしょう。
しかも優しい看護師はたくさん仕事を振られやすい
看護業務が多くなる一方で、同僚の看護師のことを考えて仕事を依頼できない優しいナースは、看護師を辞める可能性が高くなります。
③精神的な限界を超えて仕事をする
優しさで自分以外を優先するあまり、自分の体調を後回しにすると
- よく眠れない
- 食欲がない
- 休んでも疲れが全く改善されない
- 突然悲しくなることがある
上記のような症状が出てきて、ひどくなればうつ病に発展します。
本来であれば、看護業務量を減らして心身を休めるべき。
しかし、優しい看護師は他の人を優先するあまり、自分の限界に気付きにくいため急に体調を崩すことがあります。
④ドロドロな人間関係の標的にされやすい
楽して働きたい看護師は、決められた以上の看護業務をしないため仕事を早く終わらせて、
あの人、本当に要領悪いよね…
と優しい看護師を批難するケースがあります。
意地悪な看護師から悪口や陰口を言われてドロドロな人間関係に巻き込まれてしまい、メンタルをが病んで看護師を辞めるケースもあるでしょう。
看護師をすぐ辞めたい時にできる対処法5選
優しい人が看護師を辞める理由を見ると、
優しい人は看護師を続けれないのかな…
と感じた方もいるでしょう。
中には、今すぐに職場を辞めたいと思った人もいると思います。
看護師をすぐに辞めたい時にできる対処法を解説するので参考にしてください。
①人間関係の疲れを癒す
疲労困憊の状態は、物事を考える視野を極端に狭くします。
実は看護師に向いていたり、ナースをしながら自分らしく生きられたりのにも関わらず、
看護師を辞めるしかない…
としか考えられなくなります。
まずは看護師をすぐ辞めたいと思うほど疲れ切った心と身体を癒しましょう。
- いじめに合っていたら師長に即相談
- ストレスチェックをしてうつ病リスクを把握する
- 職場とプライベートにメリハリをつける
- 人間関係の不安を頭から出す作業をする
- 今からできる運動を始める
- 読書に挑戦する
- シャワーだけはやめて入浴をする
- 職場以外の人間関係を大切にする
詳しくは下記の記事で解説しているので、疲れを癒して前向きな心の状態へ近づけましょう。
②看護師で働く理由を明確にする
あなたが看護師で働きたい理由は何ですか?
- 病気で苦しむ患者さんを救いたい
- 自分の生活を守りたい
- 1つの仕事を極めていきたい
どれか1つだけに絞るのは難しいかもしれませんが、1番大切にしたいものを明確にしてください。
何を大切にして働くかを明確にすると、すぐ辞めたい状況に追い込まれにくくなります。
僕は自分と家族の生活を守るために看護師をしている
上記のように考えているため嫌な顔をされるかもと思っても、他の看護師に仕事を依頼する時もあります。
時には仕事を断ったりすることも。
もし、あなたが患者さん主体の看護をしたいのであれば、今の職場で仲間といえる看護師がいるかを考えてください。
あなたの看護観に共感してくれるような人がいれば、その人を頼りにしましょう。
いなければ、看護師をすぐに辞めると決めつけず、あなたの看護観に賛同してくれるナースがいる職場への転職を検討しましょう。
看護師として何を大切にするかを明確にすると、ナースを辞めずに働くことができます。
③職場をすぐ辞めるべきを考える
看護師をすぐ辞めるのは、少なからず現在働いている職場に影響を与えるでしょう。
一方で、明日にでも辞めたいと伝えるのが重要なケースもあります。
疲れを癒す対処法をしても、
抑うつ症状 |
・抑うつ症状 ・気分の落ち込み ・やる気の低下 ・希望が持てない ・自分を責める感情 ・よく眠れない ・疲れが取れない ・倦怠感 ・食欲の低下または亢進 ※参考サイト:健康長寿ネット |
などの症状があって、生活に支障が出ていると感じていれば、すぐ辞めるのを選択肢に入れても構いません。
抑うつがひどくなってうつ病になれば、今後への影響度は大です。
休養が何よりも大切になり、休みが確保できない職場であれば、すぐ辞めるのを考えてもよいでしょう。
判断に迷うなら、精神科を受診して抑うつの重症度を診てもらおう
④退職の準備をする
職場をすぐに辞めるケースに該当しなければ、就業規則に従って退職しましょう。
就業規則に従って辞めた方が、転職時に好印象を抱かれやすいです。
退職理由や準備については、下記の記事で解説しているのでチェックしてください。
⑤すぐ辞めるのであれば覚悟を決める
体調は悪くないけど、今の職場をすぐ辞めたい!
という方もいると思います。
どうしても辞めたいという人は、職場を今すぐ退職するのもアリ。
以前働いていた病院で入職して1週間以内で辞めた看護師もいたよ
看護師の強みは国家資格であり、現在も不足していることです。
職場に迷惑がかかかるような辞め方をしても、転職先がなくなるケースはほぼありません。
ただし、すぐ辞めるからにはそれなりの覚悟が必要です。
すぐ職場を辞めるデメリットとして、
- 看護師を続けていく自信を失う
- 退職理由を聞かれた時の対策が必要
特に①が大きいです。
②は自分で調べたり、転職サイトを利用したりすれば大きな問題にはなりません。
就労規則に従って退職すると自信を失わず、前向きに看護師を続けられる可能性をあげられるため、できればすぐに辞めるのは避けた方が良いでしょう。
看護師を続けるという強い気持ちを持つか、他の職業で働く準備ができているのであれば、職場をすぐ辞めるという選択肢もありだと思います。
優しい看護師が辞めずに働ける職場の選び方
気の優しい看護師は意地悪な看護師と比較して、職場を辞めたい気持ちは強くなりやすいです。
だからこそ、辞めたい気持ちになりづらい職場選びが大切。
優しい看護師が辞めずに働ける職場の選び方を解説するので、転職を考えている方は参考にしてください。
働く理由に合わせて職場を選ぶ
看護師として働く理由を明確にすれば、何を優先して働くかは見えてきていると思います。
自分の生活を重要視したければ、人間関係が良い職場を選びましょう。
心理学者のアドラーは、人間の悩みの全てが対人関係と述べています。
つまり人間関係の良い職場を選べたら、悩みは少なくなり看護師をしながら自分らしい生活ができます。
人間関係の良い職場の選び方は、下記の記事で解説しているのでぜひチェックしてください。
自分の看護観に即して働きたい方もいると思います。
その場合は最も興味のある分野を明確にしてください。
- 何期(急性期、慢性期、ターミナルケアなど)
- 何科(循環器、精神科、小児科など)
- 場所(病院、施設、訪問看護など)
以上を参考に整理しましょう。
興味のある分野で働けば、あなたと近い看護観をもった看護師と一緒に働ける可能性が高くなります。
ただし、同じ分野でも職場の理念や設備などの環境によって看護のレベルは異なってきます。
事前の情報収集が重要になりますが、次章で解説する看護師転職サイトを利用するのがおすすめです。
看護師転職サイトの利用をする
転職サイトを利用した方がベストな職場を見つけやすく、就活を成功させられる可能性も高くなります。
筆者は3度目の転職時に転職サイトを利用したのですが、
- コロナ感染を配慮してリモート面接の調整をしてくれた
- 自分の生活をする場所を中心に希望の就職先を探してくれる
- 転職先の人間関係について自社で積み上げたデータを元にアドバイスをくれた
- 就労条件(給料、有給取得率、残業時間など)を確認してくれる
- 面接で返答に困る質問の対策を一緒に考えてくれた
などをしてくれました。
就職先のホームページだけではわかりづらい人間関係のこと、設備などについても教えてくれるため利用するメリットは大きいです。
ただし、転職成功後も少なからず連絡がくるため億劫さを感じる方もいると思います。
連絡が来るのはちょっと面倒だけど、3回目の転職成功は企業の転職サイトのおかげだったよ
ちなみに筆者は看護のお仕事を利用しました。
筆者の嫁も看護師をやっていましたが、転職サイトを利用して人間関係と自分のしたい看護の両立ができる職場を見つけられました。
看護師転職サイトの利用を考えたけど、どれが良いのかわからない…
転職サイトを利用したナースにアンケートをとって、おすすめTOP5を選出したよ
職場を比較する時は数値化する
すぐに辞めたくなるような職場で働くのを避けるために、複数の候補から働く場所を選ぶようにしてください。
3~5つ前後まで絞った後は選ぶ基準を決めて、数字で職場を評価していくと自分に合った職場を選びやすくなります。
下記の表は鈴木祐氏の著書「科学的な適職」を参考にして作成しました。
基準 | 重み | A病院 | B病院 | C病院 |
---|---|---|---|---|
労働時間 | 3 | 3 | 5 | 2 |
有給取得 | 3 | 3 | 5 | 2 |
自分のしたい看護 | 2 | 3 | 2 | 5 |
給料 | 1 | 3 | 3 | 4 |
通勤時間 | 1 | 3 | 2 | 2 |
- 自分の重要視したい基準を入れる
- 客観的に見て重要な基準も入れる
- 自分の価値観で重みを設定する
- 3点:大切
- 2点:まぁまぁ大切
- 1点:普通
- 0~5点の間で点数を記入
- 0点:とても悪い
- 5点:とても良い
表が整理できたら「重み×A~C病院の各点数」を出して合計点を記入。
基準 | 重み | A病院 | B病院 | C病院 |
---|---|---|---|---|
労働時間 | 3 | 9 | 15 | 6 |
有給取得 | 3 | 9 | 15 | 6 |
自分のしたい看護 | 2 | 6 | 4 | 10 |
給料 | 1 | 3 | 3 | 4 |
通勤時間 | 1 | 3 | 2 | 3 |
合計点 | 30 | 39 | 29 |
【筆者の体験談】優しい人が看護師を辞める時の人間関係
2回目の転職で精神科単科の病院に務めていた時の話。
ほぼ残業もなく、有休も完全消化ができる病院でワークライフバランスが最高の病院でした。
僕は人間関係に悩むことはなかったけど男性主任は悩んでいたんだ
男性看護師で主任をやっているヤマダ主任。
精神看護への熱い思いがあり、主任業務をしながら大学院に通って精神科認定看護師にもなりました。
一方で患者さんを思うあまり、ベテラン看護師の意見を全く聞かずに突き進んでしまうことも。
患者のサトウさん…ADLをあげた方が良いから主治医に相談しよう
と考えて主治医に今後の看護について話したヤマダ主任。
一方で患者のサトウさんは認知機能が低下していたため、ADLをあげて生活範囲を広げたら転倒するリスクが上がるという背景もありました。
ADLをあげるとしたら環境調整と看護師間の統一した看護が必要。
まずは看護師間で意思統一をするためにカンファレンスを行うべきでしたが、ベテラン看護師の反対に合うのが嫌だったのか、それをすっ飛ばしてしまいます。
なんで勝手なことばかりするの…?
とヤマダ主任に怒り出す看護師もいましたが、若い看護師はヤマダ主任の看護に共感する人もいました。
既に主治医と話を通していたこともあり、サトウさんのADLをあげる看護はされていったものの様々な要素があってADLレベルはそれほど上がりませんでした。
その後、優しくて患者さん思いのヤマダ主任は病院を退職。
別の病院へ就職したのですが看護師を辞めてしまったと、ヤマダ主任の奥さんから聞きました。
看護技術があまり得意ではなく、処置よりも主任業務を集中してやることが多かったため
ヤマダ主任は患者さんに優しいかもしれないけど、仕事をしないからね
と言われており、人間関係に悩んでいる様子もありました。
優しい看護師は患者さんを思うあまり、周りのナースと意見が別れるのは珍しくありません。
その時の単独行動が強い批難を受けるきっかけになり、人間関係の修復が難しくなることもある。
筆者は優しい人が看護師を辞めると感じた事例であり、退職に追い込まれないためには人間関係から孤立しないのが重要だと思いました。
まとめ~優しい人でも看護師は続けられる
優しい人が看護師を辞めたくなるのには理由があり、意地悪なナースと比較して退職しやすいです。
性格が優しいのが理由で辞めたくなったら、退職したいと感じた時にする対処法を実践してください。
もしかしすると、この記事を読んでいる方は今すぐに看護師を辞めたいと感じているかもしれません。
しかし、職場を変えたら状況を好転させられます。
転職する時のポイントを押さえて働きやすい職場を選びましょう。
優しいのは相手の状況を考える事ができるため。
優しさは看護をする上で大切な要素であり、思いやりの強い人こそ自分に合った働き方や職場を見つけて看護師を続けて欲しいです。
この記事を読んで、看護師をしながら自分らしく働けるきっかけをつかんでもらえたら嬉しいです。
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