月に2回以上もインシデントを起こしちゃった…抜けの多い私はどうしたらいいの?
新人や2年目看護師は抜けの多さが目立つもの。
抜けの多さをどうにかしたいと思う看護師のために、インシデントを減らせる対処法や筆者の体験談を解説します。
【事例紹介】新人と2年目看護師は抜けが多い
抜けが多い私は看護師なんか向いていない…
インシデントが続くと自分を責めてしまいますよね。
抜けの多さで悩んでいるのはあなただけではありません。
筆者は看護師先輩から「極端なことを言ったら、新人看護師は患者さんを死亡させるようなミスをしなければOKだよ」と言われました。
男性看護師の先輩だったけど、気持ちが楽になったのを覚えてるよ
抜けが多さを悩んでいるのは私だけじゃないんだね
抜けが多い看護師になる2つの原因
抜けが多い看護師になってしまうのは意外な理由も含まれます。
ここでは抜けの多い看護師になる原因を大きく分けて2つ解説します。
事実として抜けが多い看護師である
これって当たり前のことじゃない?
- 病棟の看護業務量が多い
- 対応の難しい患者が多い
- 仕事が丁寧すぎる
- 看護業務を1人でこなそうとする
- 職場の人間関係が悪い
- ネガティブ思考
など様々な理由によって、抜けが多い状況になります。
対策をしっかりすればインシンデント減らせるため、先輩看護師からの評価も変わるでしょう。
新人や2年目看護師だからチェックを厳しくされる
患者さんのところに体温計が1本置き忘れられている。
患者さんの受け持ちが「お局看護師」なのか「新人」なのかによって、体温計を忘れたのを指摘されるかは変わってくるでしょう。
失敗した看護師によっては注意されないケースもあるもんね
新人や2年目だからしっかり教育したいという先輩看護師の思いもあるよ
良くも悪くもよく見られている新人や2年目看護師は、
- 仕事の抜けを発見されやすい
- 仕事の抜けを厳しく注意されやすい
という状況になります。
先輩看護師と新人で抜けの多さが同じだとしても、注意されるのは新人。
注意された分だけで、仕事の抜けの多さを自覚します。
厄介なケースは仕事のできない看護師というレッテルを貼られること。
仕事のできない看護師というレッテルがあれば、さらにチェックは厳しくなります。
新人と2年目はチェックが厳しいため、抜けの多い看護師だと悩みやすい。
仕事のミスが自分の性格だけではないと知ると気持ちは楽になります。
抜けが多い看護師がインシデントを減らせる対処法9選
看護師の仕事で抜けが多いのは、性格が原因だとあきらめていませんか?
看護業務のミスは対処法を間違わなければ、誰でも減らすことができます。
意識だけではなく行動で対策する
インシデントを起こした時に
- 忙しい時こそ落ち着いて看護業務に当たる
- 間違わないようにしっかり確認する
- マニュアルにある基本を大切にする
一見、仕事の抜けを減らすのに効果的に見える対策ですよね。
しかし、いずれも意識だけで問題を解決しようとしています。
看護師の仕事は流動的であり、意識の対象も移りやすいため、上記の対策で抜けの多さは解決できません。
何かしようとしたらナースコールが鳴ったり、他の看護師から呼び止められたり…
意識だけでなく行動レベルで対策を考えるのが必須になります。
看護業務の失敗 | 行動レベルの対策 |
---|---|
忙しくて仕事に抜けがあった | メモやワークシートを定期的に見る |
誤薬をしてしまった | 与薬中に声をかけられたら「与薬をしているので待ってください」と伝える。 |
採血を忘れた | 詰め所デスクに○時採血というメモ書きを貼る |
仕事の抜けやインシデントを起こしたら、意識だけでなく行動もセットで考えましょう。
インシデントの仕組みを理解する
抜けが多い原因は、自分だけが原因と思っていませんか?
インシンデントが起こる原因のほとんどが環境。
点滴施行をするケースを想定すると、
看護師2名でダブルチェックできるスタッフ数や決まり事があったり、バーコードスキャンができる機械があったりなどの環境があれば、1人でするケースと比較してインシンデントは少なくなります。
新人や2年目の看護師が病棟環境を変えるのは難しいですが、個人からできることもあります。
例えば、15時に点滴指示があるとして、
環境に働きかけるケースでは、他の看護師の目に入る状況にしているため抜けが少なくなります。
インシンデントが自分だけのせいじゃないとわかると気持ちが少し楽になるよ
メモをとる
記憶力に頼れば頼るほど、仕事の抜けは多くなります。
脳が1度に処理できる仕事量は決められているため、頭だけで処理する仕事が多くなればなるほどミスは増えます。
記憶に残す内容をメモに残すと、 脳の容量に余裕が生まれて抜けは少なります。
看護業務をメモする時は、
- 色文字
- 付箋
- 囲み
- マーク(☆、!など)
などを使用して、重要な処置は一目でわかるようにしましょう。
状態安定している患者さんのバイタル測定、清拭などは抜けても大きな事故につながるケースはほとんどありませんが、点滴や採血といったものはインシデントになります。
抜けたらインシンデントにつながるものに絞って、色文字などを使ってメモしましょう。
タイマーを使用する
メモを確認するのを忘れて仕事が抜けちゃった…
筆者も新人や2年目の時はよく経験しました。
そこでおすすめなのがタイマー。
僕は音のならないバイブ付きのもを使用しているよ
バイブであれば、他の看護師や患者さんを気にせず使えます。
タイマーをセットしてバイブを確認したら、メモのチェックや予定していた処置を行ってください。
タイマーを使用すれば、先輩から業務を忘れない工夫をしている看護師と思われるため、印象を良くする効果もあります。
バイブ付きのタイマーは色々試しましたがシンプルなものが使いやすいです。
筆者が使用しているタイマーはこちら(amazon、楽天)なので良ければ参考にしてください。
ホウレンソウする人を選ぶ
怖いベテラン看護師、頼りなるけど忙しそうな先輩ナース…
声をかけにくそうだから、優しい先輩看護師に相談しよう
僕はこれでインシンデントを起こしました。
新人看護師の時、2年目の先輩に血糖チェックを依頼したけどその先輩が血糖チェックを忘れたんだ
先輩にも責任はありますが、患者さんを受け持っていたのは自分。
主任看護師から、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)をする人は経験のある看護師にするようにと助言されました。
ホウレンソウする時は「怖いか怖くないか」ではなく「抜けをなくして仕事を確実にこなせるか」を基準にして、先輩看護師に声をかけましょう。
独り言を使う
患者さんの情報、看護処置など細かく思い出せないことってありますよね。
そんな時、筆者は独り言をよく使います。
随分独り言が大きいね(笑)
自分は忘れっぽいんで声出ししながらやるんですよね。そういえば、この指示ですけど…
みたいな感じで、先輩看護師から声をかけてくれるケースがあります。
このタイミングで仕事の方法を確認したり、看護業務を依頼したりできます。
インシンデントを防ぐのに効果的なのはもちろん、抜けを少なくするアドバイスもらえることあります。
依頼できる仕事を振り分ける
予定していた看護業務以上を依頼されるのは看護師ではよくあること。
仕事の抜けが多くならないように、自分と他の看護師ができる仕事を振り分けましょう。
例えば、
- バイタル測定
- 採血
- 点滴
- 患者さんの病状を主治医へ報告
- 退院調整(関係職種と家族に連絡)
①~③は「〇〇さんのバイタルを測ってもらえますか?」と一言で依頼がすみます。
一方で④と⑤は説明するのに時間がかかりますし、依頼された看護師も状況を理解するまでに苦労するのも珍しくありません。
ポイントは看護業務を依頼する時に「わかったよ!」と一言で返答されるかどうか
新人と2年目あたりであれば、先輩看護師は業務に余裕ができたタイミングであなたに声をかけてくれるので、振り分けた仕事を依頼しましょう。
転職する
看護師の仕事で抜けが多くなる大きな原因は、なんといっても看護業務の多さと言えます。
2つ以上の作業を一度にするのをマルチタスクと言いますが、どんなに頭の良い人間でも1つの作業をするシングルタスクの方が確実に仕事をこなせます。
一度にやる仕事(マルチタスク)が多くなればなるほど、抜けが多くなるのは脳にとっては自然なこと。
じゃあ、抜けの少ない看護師は特別な人?
特別というよりも経験や看護業務への慣れが大きいよ
歯磨きをしながらテレビを見れるのは、どちらもその作業に慣れているから。
職場の業務に慣れてきたら、抜けの多さは改善されていきます。
一方で、仕事に慣れるまでは個人差がありますし、失敗続きで看護師を辞めたくなる人もいるでしょう。
解決手段として転職があります。
現在よりも看護業務の少ない職場に転職したら、仕事の抜けは確実に少なくなります。
看護業務が落ち着いている職場として、
- クリニック
- 高齢者を介護する施設
- 訪問看護ステーション
- 健診センター
- 個人病院
などは、総合病院と比較して看護業務は落ち着いています。
看護師を辞める前に転職して、抜けの多さが変わるかを確認してみましょう。
落ち込みを引きづらない
インシデントを立て続けに起こしちゃった…
立て続けにミスをして仕事に抜けが多くなるのは、心理学的に考えてもおかしくはありません。
一度のインシンデントをきっかけに、抜けが多くなるのはネガティブな気持ちが原因の1つ。
筆者も新人と2年目の時、仕事に抜けが多いのを指摘されるたびに落ち込んでいました。
しかし、ある言葉で気持ちを切り替えるのが比較的楽になります。
インシンデントを起こした時に、看護師を向いていない理由を探そうとするのは転んだままの状態。
転んですぐに走り出すのは、ネガティブな気持ちに一旦目を向けるのはやめて、抜けの多い状況を変える対策を考える事。
看護師の仕事で失敗したからと言って、翌日休みをもらえるわけじゃないしね
もちろん、気持ちをリラックスさせる時間を作るのもありですよ。
落ち込みを引きづらなければ、抜けの多い状況を変えられます。
【筆者の体験談】抜けが多い看護師が変わったきっかけとは?
看護師1年目、2年目は抜けの多い看護師だった筆者。
当時は総合病院の循環器センター(病棟)では働いていましたが、
- 昼食前血糖チェックが抜ける
- IN-OUTの計算をせずにリーダー看護師に送りをする
- 確認不足で点滴内の混注を忘れる
- 手術を控える患者さんの持参薬チェックを忘れる
循環器に務める看護師としては考えられないミスばかり。
インシンデントを起こすたびに病棟カンファレンスを行い、自分を責められている気分になる。
忙しい中、自分の失敗でカンファレンスになるの申し訳なくてイヤだったよ
抜けの多い看護師であった筆者が変わったのは、
- 転職
- 誤薬に関する看護研究
の2つです。
個人病院(精神科単科)に転職をすると、インシンデントは圧倒的に減りました。
循環器センターと比較して転職した病院は業務量が少なかったです。
看護師の仕事量自体が減れば、抜けの多さも減るのは自然なことと言えます。
精神科の病院に務めて2年目の時、
けんぼうくん。看護研究をやってもらえる?
ということで、誤薬に関する看護研究をします。
個人病院だったので、総合病院ほどガチガチな決まりのある看護研究ではありませんでした。
気持ちに余裕がある分、ヒューマンエラー関連の本も読んでみます。
心に残ったのが「医療事故は個人のせいではなく、環境や仕組みの問題によって起こる」という内容でした。
確認不足、緊張していた、体調が悪かった、などなど意識や体調ばかりを抜けの多い原因にしていた筆者。
本で解説されたような完璧な環境改善はできなくても、自分の中で仕組みは作れます。
例えば、大切な処置はわかりやすくメモするだけではなく、タイマーを必ずセットする。患者さんに与薬をする時は「名前を確認していいですか?」と初めに話すなど。
抜けの多い看護師から卒業できたのは、転職と仕組み作りがきっかけでした。
まとめ~抜けの多さは意識だけでは変えられない
抜けの多い状況を変えたいのであれば、仕事の失敗やインシンデントを自分の性格や確認不足といった意識のせいにしてはいけません。
意識だけでは看護業務のミスは減らせないため、行動レベルで対策を考えましょう。
抜けが多い看護師がインシデントを減らせる対処法9選で現状を打開できる具体的な方法を解説しています。
看護師を辞めたい状況であれば、転職を検討するのもあり。
抜けの多い状況を変えられた体験談も書いているので参考にしてください。
看護師はライフスタイルによって働く場所や時間を変えられるので、看護師を辞めると簡単に決めるのはもったいないです。
この記事を読んで仕事のできない看護師を卒業して、あなたらしく働くきっかけになれたら嬉しいです。
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